九州大学・先導物質化学研究所の友岡、井川（現 熊本大学）、河崎らの研究グループによって開発された無触媒クリック反応素子（DACN）の誘導体として新たに、NHSエステルやマレイミドなどの連結部位を有する新分子が加わりました。これら新しいDACN誘導体では、アルキン部位でのHuisgen（ヒュスゲン）反応による分子連結とともに、もう一箇所での分子連結を相互に干渉することなく簡便に行うことができます。ペプチド工学、タンパク質・抗体工学、糖鎖工学、核酸工学、錯体化学、機能性分子の合成などの多様な分野でご利用頂けます。

基本特性

・良好なクリック反応性（OCTの約2倍：右図参照）1) ・OCTやDBCOの問題を解決 　　高い熱安定性 2) 　　：取り扱いが容易，加熱条件での反応実施可 　　チオールに対する低反応性2) 　　：システインやグルタチオン等, 生体チオールの共存可 　　低疎水性（NMs-DACNシリーズ）3) 　　：水溶性向上，タンパク質の非特異吸着を抑制	ベンジルアジドとのクリック反応速度の比較
1) K. Igawa, K. Tomooka, et al, Angew. Chem. Int. Ed. 2015, 54, 1190.　　　2) K. Igawa, Y. Kawasaki, K. Tomooka, et al, Synlett 2017, 28, 2110. 3) Y. Kawasaki, K. Igawa, K. Tomooka, et al, Chem. Lett. 2019, 48, 495.　　  4) C. R. Bertozzi, et al, J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 15046. 5) F. L. van Delft, et al, Chem. Commun. 2010, 46, 97.

用途例

ペプチド工学	糖鎖工学
タンパク質・抗体工学

応用例

生物活性分子の複合化への応用

蛋白質－蛋白質相互作用に関わるフシコクシン誘導体1とペプチド2の複合化．細胞内での複合化も可．

J. Ohkanda, et al. Chem. Asian. J. 2020, 15, 742.

機能性分子合成への応用：4重ロタキサンの留め具としての利用

超分子触媒の骨格となるポルフィリン・フタロシアニンの4重ロタキサン3の合成．4ヶ所のアジドとDACNの無触媒クリック反応でロタキサンの末端を一挙に固定．無触媒反応であるために，ポルフィリン・フタロシアニンへの触媒金属の取り込みを回避.

Y. Yamada, K. Tanaka, et al. Chem. Eur. J. 2017, 23, 7508.

反応機構研究への応用

ジゲルメン4から生じるゲルミレン5と反応して一次生成物6を与える．また6は熱転位してゲルミレン7を与える．

T. Sasamori, et al. Darton Trans. 2020, 49, 7189.

製品一覧

N,N′-ﾋﾞｽ(p-ﾄﾙｴﾝｽﾙﾎﾆﾙ)-6-ﾋﾄﾞﾛｷｼ-4,8-ｼﾞｱｻﾞｼｸﾛﾉﾆﾝ 製品番号 : 05847-65	N-4-ﾏﾚｲﾐﾄﾞﾌﾞﾁﾘﾙ-N′-p-ﾄﾙｴﾝｽﾙﾎﾆﾙ-4,8-ｼﾞｱｻﾞｼｸﾛﾉﾆﾝ 製品番号 : 25715-65	N-ﾒﾀﾝｽﾙﾎﾆﾙ-4,8-ｼﾞｱｻﾞｼｸﾛﾉﾆﾝ塩酸塩 製品番号 : 25717-65
N-ﾒﾀﾝｽﾙﾎﾆﾙ-N′-o-ﾆﾄﾛﾍﾞﾝｾﾞﾝｽﾙﾎﾆﾙ-4,8-ｼﾞｱｻﾞｼｸﾛﾉﾆﾝ 製品番号 : 25716-65	N-ｽｸｼﾉｲﾙ-N′-p-ﾄﾙｴﾝｽﾙﾎﾆﾙ-4,8-ｼﾞｱｻﾞｼｸﾛﾉﾆﾝ N-ﾋﾄﾞﾛｷｼｽｸｼﾝｲﾐﾄﾞｴｽﾃﾙ 製品番号 : 37105-65	N-p-ﾄﾙｴﾝｽﾙﾎﾆﾙ-4,8-ｼﾞｱｻﾞｼｸﾛﾉﾆﾝ塩酸塩 製品番号 : 41070-65

従来品

N,N′-ﾋﾞｽ(p-ﾄﾙｴﾝｽﾙﾎﾆﾙ)-4,8-ｼﾞｱｻﾞｼｸﾛﾉﾆﾝ 製品番号 : 05628-68, 05628-65	N-o-ﾆﾄﾛﾍﾞﾝｾﾞﾝｽﾙﾎﾆﾙ-N′-p-ﾄﾙｴﾝｽﾙﾎﾆﾙ-4,8-ｼﾞｱｻﾞｼｸﾛﾉﾆﾝ 製品番号 : 28197-68, 28197-65	N-ｽｸｼﾉｲﾙ-N′-p-ﾄﾙｴﾝｽﾙﾎﾆﾙ-4,8-ｼﾞｱｻﾞｼｸﾛﾉﾆﾝ 製品番号 : 37104-68, 37104-65

・「法律」,「SDS」,「在庫」など詳細情報は、製品番号をクリックいただきご確認いただけます。
・試薬のご購入とご使用に際して

パンフレット

無触媒クリック反応素子 高機能性アルキン(DACN)

クリックケミストリー関連特集